「パリ万国博覧会が開催された当時、エッフェル塔の下で幕府と薩摩のサムライが切り合いをした。その記録はポルトガルの図書館に保存されている」。1970年初頭にフランス人からそう聞かされた。僕は、いつの日かポルトガルを訪ねてみたいと思うようになった。そして1993年、長年の夢が40日間の旅として実現した。
ポルトガルは、現代日本の原点とも言える国だ。1543から1639年に至る種子島の鉄砲伝来から鎖国に至るまで、天正少年使節派遣をきっかけに衣食住などの分野で日本の生活様式に大きな影響を与えた。
1640年に「鎖国令に反した」との罪で長崎の西坂で処刑されたフランシスコ・パッシェッコの子孫と三―ニョ地方で会うことが出来た。日本に憎悪を抱いているのではと心配したが、「先祖が日本に貢献できて誇り」と訪問を歓迎してくれた。この優しさ、明るさ、信心深さ、ポルトガルの財産は人の心だと実感した。
先進国と呼ばれ政治権力を誇り経済発展に浮かれる国々、しかし、その実態は荒廃した人間関係などから社会問題が急増している。そんな中にあってポルトガルは「心ある国」として威光を放つ。見事なポルトガルに喝采。
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