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Lecture course Message カルチャー教室講師として

 今から30年程前、朝日カルチャーセンターで写真講師を始めました。その時代は、受講生が撮影した作品をスライド投影して講評する教室が主流でした。講座担当者から技術中心の教室にして欲しいとの要望もあり、カリキュラムはカメラの取り扱いや基礎技術を講義しました。しかし、撮影したい被写体や感性には極力口を挟まないよう心掛けました。個性を潰してはならないと考えたからです。

 カルチャー教室と言えば中高年の方々が殆どというのが実状です。でも、私の教室には若い女性たちが一眼レフカメラ片手に多数訪れました。今にして思うと、それは「カメラ女子現象」の始まりだったのかも知れません。彼女たちは写真が好きなのではなく、カメラマンが使う写真用語を口にして、いかにもプロと言わんばかりに雑誌に画像を投稿する、それが格好よいファッションスタイルと思っているようでした。

 カルチャー講座に集まる人たちは単に学ぶだけではなく、友人を作りたい、生きがいを見つけたい、シニア世代は健康維持と生涯学習のためなど、様々な目的で参加しています。そんな状況下、新たな価値観を抱いた「カメラ女子」が加わったのです。

 間もなくしてデジタルカメラ時代が到来、写真の存在価値は一気に変貌しました。フィルムで創作写真を制作する人は著しく減少し、ホームページ、ブログ、インスタグラムなど、コンピュータの端末として利用する人達が急増しました。カメラメーカーもニーズに応えて誰もが簡単に写すことが可能な小型軽量全自動カメラを増産しました。人間は楽な方向には直ぐに馴染みます。ついには、カメラも持たずにiPhoneで撮影する時代に突入しました。

 簡単で楽なのはよいのですが、その代償として質の低下は否めません。質の悪い写真ばかりを見ていると、それが普通に見えて本物を理解する能力もマヒします。どんな道にも基礎があり、コツコツと根気よく鍛錬を重ね、それに自己の美意識を発揮してこそ、プロフェッショナルと言われる由縁があります。なんでも早く便利なものがよい訳ではありません。

 私の写真講座では、モノクロフィルム写真の撮影から暗室処理までの指導を行っています。一方、インターネット時代に対応する為、画像処理技術(フォトショップ)やブログなどに加工入力する方法なども教えています。これからの時代は、高齢者は社会とのつながりを向上させるためにインターネットを利用できる技能を身に付けること、若者は顔と顔、目と目を合せながら人間関係を構築することが大切です。アナログとデジタルの調和があってこそ、社会人として成立するのではないでしょうか。私は、技術講座だけでは目的達成は難しいと考え、コミュニケーション能力が得られる「ぶらり取材体験」、創作の美意識を学ぶ「美を楽しむ」を新たなカリキュラムとして加えました。

                                    松庵舎講師 奥村森

                                              

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